就活の役に立たぬ本などないのです! 裏切る時に筋を通せるか? 宮城谷昌光『沙中の回廊』
2014年07月22日
本日の担当:タカラ
本日も弊社スタッフブログにお越しいただきありがとうございます。
私タカラ担当回は、就活に直接、あるいは間接的に役立つ!と思った本を
ご紹介させていただければと存じます。
さて、以下本題。
__________
宮城谷昌光 『沙中の回廊』 朝日文庫or文春文庫
参考URL http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167259150
(文藝春秋BOOKSより)
※表紙画像は朝日文庫版
裏切る、というのはひどく苦しい行為です。
意図せず結果として裏切ることになったときもひどく苦しい。
長い人生の中、そんなシーンに立ちあうことも屡々あるでしょう。
裏切ってしまった後、筋を通せるか通せないかは
普段から胆力を鍛えているか否かによると思います。
「あぁ、裏切ってしまった…」と頭を抱えて自分の世界に陥るだけに終わるか
「もうどうせ裏切ってしまったのだから」と自棄になるか
それでもできること、為すことがないか、他人に目を向けられるか。
人の性(さが)は緊急時にこそ現れますが、今回ご案内する作品の
主人公は、それは見事です。
__________
中国・春秋時代、晋(しん)の国に生まれた士会(しかい)。
そこそこの家柄に生まれますが、家は没落しつつあり覇気がありません。
裁判を司るインドア系の家に生まれながら、活気の失せた家中が嫌で
士会は武技を磨くやんちゃ坊主のポジションにあります。
不遇の家には、なかなか君主の眼も栄光の光も届かぬものです。
けれど、やんちゃであっても、士会はやさぐれることもなく
父、兄にたしなめられながらも暖かく見守られ
戦術の師とも呼べる先軫(せんしん)に出会います。
お供の弗(ふつ)や筲(そう)を大事にし、彼らを導き、時に彼らに教えられ
自分とは何か、家とは何か、自分が為せる事は何かを
地道に考えていく粘り強さがありました。
戦術にも人柄にも優れた士会は、幸運も働き、じきに君主に見いだされます。
栄達への階段をのぼろうか、という時、士会は己の意志とはうらはらに
ある人を裏切らねばならなくなります。
そこで士会がとった行動は……。
__________
あとはご自分で確かめていただけると幸いに存じます。
書いたらつまらないですしね。
毎々宮城谷さんの著作の主人公は気持ちが良くて
ほれぼれします。
__________
特に新卒の就活生さんたちに対してですが、時間がある内に
「直接(あるいはすぐ)役に立たない本」をたくさん読んでほしいと思います。
小説や随筆の類がそれに当たるでしょうか。
逆に、すぐに役に立つというと、ハウツー本(ES対策、残業をせずに帰るetc.)が
思い浮かびます。
士会が緊急時も慌てなかったのは、何でもない平素の時から
お供と語らい、本を読み、武芸を磨き、考えつづけたからです。
何でもないときから自分を磨けるか。
何にもないところから気付きをえられるか。
私はページを捲るごとに、士会に教えられました。
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