白河静博士に学ぶ
2014年07月16日
本日の担当:たかた
白川静博士という高名な漢字学者がいらっしゃいます。
大変独自性の高い解釈に基づく研究で有名な方です。
立命館大学の名誉教授に就かれ、
現在も立命館大学には白川博士の業績を記録した記念館があるそうです。
”殷”という文字をご存じだと思います。
古代中国国家の”殷”です。正式名は商です。
これを通常の漢字辞典で字源を調べると、
インターネットの”ウィクショナリー”によれば、
”左部は「身」を上下逆にしたもの、「身」は身ごもった女性で、中身が充実していることを意味、
それに動作を表わす「殳」を加え、豊かなものを意味。”
となっています。
つまり、大いなる豊かさを表す文字であるとされています。
商という国家が盛大であったことから出た敬称とする解釈です。
ところが、白川博士によれば、”殷”という文字は妊婦を殴っている姿を表しているのだそうです。
商という国家は宗教国家で、妊婦を生贄として奉げていた可能性があるそうです。
妊婦から子供が産まれるため神聖視されたようです。
しかし、商以外の周辺民族にはそのような習慣は有りませんから、
妊婦を解体して神にささげるなどというのは、
目を覆うばかりの陰惨な光景に見えたはずです。
つまり、”殷”という文字は商の後の周の時代につけられた
商に対する蔑称であるとするのが白川博士の解釈で、
それまでの解釈と180度趣が変わっています。
このように極めて独自性の高い解釈をされるため、昔はかなり批判されたようです。
ある学者から、
”白川君、君の言ってることは、どの辞書にも書いてないじゃないか。”
と言われた時、白川博士はこう言ったそうです。
”既存の辞書など当てにするな。自分だけの辞書を持ちたまえ。”
仕事には必ず業務マニュアルがあり、それを順守することはとても重要です。
しかしマニュアルが現場のすべての問題を解決してくれる辞書ではありません。
仕事においてはマニュアルの隙間を自ら得た経験によって埋めていかねばなりません。
それがビジネスパースンにとっての”自分だけの辞書”なのだと思いました。
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