採用の意思決定(5)

2014年07月04日

 
本日の担当:鬼退治
 
前回では採用する為に行う判断について、一部儀礼化していること
の無意味さや視点のズレについて考えてみました。
今回はその判断から決定するうえで重要な判断をする人、決定をする
人について考えてみたいと思います。
その前に、組織に人を新たに迎い入れる際にはなんらかの根拠や
必然性が生じてのことだと思いますが、その根拠の妥当性や必然に
至る過程が曖昧になることが多いようです。
当然、社会状況の変化速度から考えると根拠や過程にあるロジックを
追い求めていると機を逸することになりかねません。
但し、前回にも述べた経営にインパクトを与えるような投資であり、
業績に直結する点と迎い入れられる人の側面からは将来に渡って生活
を規定する大事な変化点でもある訳です。
だとすれば現状の組織を直視、凝視して日常からリスクや機会を
シュミレートし、丁寧に対応策を考えておいてもよいのではないかと思う
のです。
ここからテーマである判断をする人、決定をする人に話を移したいと
思います。
現状を直視、凝視して保守的に良き伝統、文化を援用しつつ将来を
イメージする人が判断すべきであり、決定すべきだと考えます。
これまで、出会い頭的な要素、思いつきの要素が含まれた対応レベル
での採用やそこから派生した組織の力学で帳尻を合わせるための採用、
業務プロセスを精査することなく肥大化採用をしてきたことや、時流に
乗せられてしまった必然性のない採用に翻弄されてきたケースが少なく
ありません。
不合理が合理性を獲得することも往々にしてあることも承知のうえで言う
のであれば不合理性がさらに不合理性を呼ぶような採用自体は組織に
とっても勿体無い気がします。
だからこそ組織の良い伝統と文化を理解した上で現在おかれている状況
を見つめ、将来をイメージすることの出来る人が導き出された根拠必然性
のロジックで持って対するのが意味のある採用だと考えます。
では、それは誰がすべきかは必ずしも人事の職についている人とは限りません。
経営者かもしれませんし、役員かもしれません。
事業の責任者、現場の責任者という場合もあります。
または、組織に属する全員という場合もあり得ます。
つまり採用は組織の一部で行うビジネスプロセスではないと思います。
仮に人事が採用に深く関わっているなら採れば終わりではないはずで、
他部門でも人事任せでは本来ないはずです。
職務にこだわり過ぎるために適性が無くても無理に適応させようとする
とムリ、ムダ、ムラが生じて最適化出来ていないことも多く見られるのです。
そうなると職務や役割が乱れ、組織の秩序を失うという意見もありますが、
そのような強力に制度化された緻密に構築された大規模な組織は数社、
数十社しかありません。
むしろ忌避すべき組織の力学が働いて、個別最適になっているとしか思い
ません。
最適な人が最適な判断と決定をし、普段から組織の収斂された時間軸を
理解することが肝要に思います。