何となく使っているけど結構重要な単語【求める人材像】

2014年05月16日

本日の担当:鬼退治
 
前回に関連しますが、採用に関する頻出単語に「求める人材像」が
あります。
像とありますので、求める人材をイメージ化したものと解釈できますが、
イメージ化の構成要素が曖昧で不明瞭な為、徒に混乱を招くもの
となっているのが実態です。
求める人材を規定する各要素が無自覚に、安易に使われていることの
影響は採用のみならず人事政策、文化・制度にも及ぼすことを理解
しておいた方がよいと思います。
 
この「求める人材像」が広く流通されはじめたのもコンピテンシー
という概念が輸入され、急速に広まったことが影響されているのだと
考えます。
職務記述が明確になっており、範囲、権限が規定されている社会
では上手く機能するのだと思いますが、関係性や領域と領域の重なり
に価値を見出す社会では、そこまでして特定のモデリングに適合させる
必要性があるのかという意見があるのもごく自然なことです。
その弊害が安易にキーワード化したプロトタイプにあてはめ0、1
で判定して選別していくことが問題であり、安易なキーワード化が
前回も述べた思考停止に陥ることで、その時点の代償として人の思考
や行動まで規定していくことになります。
さらには制度化されていく過程がそこにあるのです。
 
良き伝統や固有の物語を封印して言葉遊びや流行に乗った物言いが
力を持ち始めるとその楽さや身の委ね易さからドライブがかかり
歯止めが利かなくなります。
それは具体化という作業を避けることを前提として成り立っています。
大事なのはその怠惰な前提を外し、具象を丁寧に辿り、ストーリー化
することが検証を可能にし、時間の経過に耐えうるものとして洗練されて
いくのです。
そこで濃縮されたものがキーワード化として本来機能すべきものだと思います。
 
冒頭に遡って求める人材像の構成要素として前回のテーマにも取り
上げた「コミュニケーション能力が高い」が頻繁に挙げられますが、
自社そのものといってもよい要素をコミュニケーション能力といった
分かりづらい言葉で語っていること自体が、そもそも語っている方は
コミュニケーション能力が高くないのでは。
ということもあります。

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