何となく使っているけど結構重要な単語【モチベーション】

2014年05月12日

本日のブログ:鬼退治
 
今回はかつてほど使われなくなっているものの、いまだにビジネスの
世界で便利に流通している「モチベーション」について考えてみます。
 
この単語はそれを発する側の予定調和的にある意図の為の意味付け
として、そしてその意味が通じる社会での共通性と共時性を保つ為に、
帰属先での自己顕示と保身の為に、また、都合よく個に問題を帰結
する単語として流通されているように思われます。
 
語源は「動く」ことですが、この「動く」自体がビジネス社会で
目標達成行動やセルフコントロール、外向性、ポジティブさが包含
された魔法の言葉に形を変えていきます。
さらにはモチベーションの高い組織等、組織にもこの単語が適用
されることに違和感を覚えます。
 
先に挙げた俗流のモチベーションの各々の意味は組織の中で求める
人材の要件に言いかえる事も出来、大事な要素なのだと思います。
 
しかしながら、個の感情の移ろいや志向性に収斂せざるを得ない
この単語の用法自体が見えない組織をより見えなくし、問題の所在を
巧妙にずらすものだということも出来るのです。
今使われているモチベーションなるものを特定し、それを上げることは
際限なく個々の内奥に立ち入ることでしかないのだと思います。
効率化を推し進めてきた組織がそのようなことを真剣に行うことは
考えられず、仮にモチベーションの実体を掴み、それを上げたところで
経営にインパクトのある形が出るのかは再現性がないので証明出来ません。
 
「モチベーション」を上げることが目的化することはハイスピードで
動いていくビジネス時間に逆行した動きになるのです。
 
また、いわゆるモチベーションの高いといわれるモデルはいい意味で
演技が出来、表現の出来ることが基準をクリアする傾向にあります。
これは本質ではありません。
浮遊する言葉にとらわれるよりも関係性の中で個々の特性を見つめ、
「モチベーション」という状況を超えた状態を有機的に創出することで、
そのような概念すらも意識しなくなることが本当の意味での
モチベーションなのだと考えます。
 
それはギリギリの状況で緊張の糸の張った状態なのか、和やかな状態の中、
自身の手を離れてオートマティックに進みだす状況なのかはその時々の
ビジネス環境によりますが、共通しているのは「モチベーション」という
概念ではないということです。
現在のビジネスから過去において独創的な仕事や技術、サービスの多くが
そのように生まれているのも事実です。

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