当事者と関係者と組織と第三者からの見方・見え方

2014年04月17日

本日のブログ:たかた
 
先週はまさに「小保方ウィーク」といっていいでしょう。
 
今回のこの記者会見に対する世間の評価は様々ですが、
私はこの会見を見て感動してしまいました。
 
STAP細胞の存在の真否については今後の経過を見ないと何とも
言えませんが、会見そのものは近来稀に見る見事なもので、
今後記者会見をする人の教科書にもなり得るものでしょう。
 
しかし、この会見に対する評価についていろいろ見ていると
くっきりと二つに分かれていることに気がつきました。
 
一般人の評価は同情的なものが多いのに対し、同じ研究者からは
信じられないほど冷ややかな批判が多いのに驚きました。
インターネットでのブログや掲示板などをみると、
ヒガミともとれるような感情的な批判がたくさん載っています。
 
その批判の理由のほとんどはSTAP細胞存在の「エビデンス」が
会見では何一つ示されていないという一点です。
 
そしてその「エビデンス」とはなにかというと、
STAP細胞を作るための、小保方さん言うところの「レシピ」
なのでしょう。
 
つまり「結果」ではなく「プロセス」を示せ、そのプロセスによって
多くの研究者が再現できて初めてSTAP細胞は存在すると言えるのだ、
ということなのだと思います。
 
そもそも今回の騒動の発端は、先の論文に基づいて実験してみても
STAP細胞が出来ない、
つまり「再現性がない」と世界各地から不満の声が沸き起こり、
さらには「STAP細胞は本当にあるのか」という疑惑が出てきて、
挙句の果ては小保方さんの論文そのものに対して、毛を吹いて
疵を求むるがごとくに執拗なまでの検証が行われて炎上してしまった
のだと思います。
 
したがって「レシピ」さえ公表してしまえば「改ざん・ねつ造騒ぎ」
など吹っ飛んでしまうはずだから、小保方さんもそうするだろうと
研究者の多くは大いに期待していたところ、それがまったく出なかった
どころか、小保方さん自身は「200回以上」も成功しているという
発言があって、失望に羨望が加わりあそこまで冷やかな批判として
現れたのではないか。
 
要するに、おいしそうなご馳走の写真だけを見せられて、
その作り方は本人だけが知っていて200回以上も自分で作って味わっている。
そんな風に研究者達は感じているのかもしれません。
 
しかしそれはやむを得ないことで、「レシピ」は小保方さん個人の
ものではなく、知的財産として理化学研究所に帰属するものですから、
小保方さんが勝手に公表すれば今度は守秘義務違反が待っていること
になります。
 
メディアに登場した偉い先生が「理研は国民の税金で成り立っている
のだから、無償で公開すればいいんですよ」と言っていましたが、
これはあまりにも乱暴な意見です。
 
小保方さんも、言いたくても言える立場ではないことを明言なされば
よかったと思いますが、次の論文にに必要なものだから公表できない、
と答えてしまったものだから自分の利益しか考えていないという印象
を与えてしまったように思えます。
 
「レシピ」を公表できないならそれに代わるエビデンスを示すべきで
はないか、という意見もあるかもしれませんが、しかしそれをやった
場合、詳細に語るうちにレシピに関わるキーワードがつい出てしまう
恐れもあります。
(メディア側はそれを狙っているのかもしれませんが)
 
要するに今回の論文発表は時期尚早だったのではないか。
次に予定されている論文と併せて1回で発表すべきであったのではないか。
あるいは発表にあたっては今回の論文の全体の中の位置づけを説明
するなど、もっと控えめな表現をすべきではなかったか。
理化学研究所の戦略ミスのように思えてなりません。

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